農家と名乗っているだけあって3年間農業に勤しみました。なぜ農業をやったかと問われると以下2つがあげられます。
- 自分で生きていけるスキルを身に着けたかった
- 田舎移住してみたかった
- 農業って稼げるのかやってみたかった
今考えてみたら大した理由ではありません。3年間の間、1人で2反(田んぼ2枚分)ほどの畑をやってきました。(ほんまきつかった
今回はそんな僕が農業をやって出した結論を、「これから農業で生きて行きたい!という人に残酷な現実をぶつけます。
絶対辞めとけ
タイトルに出てますが、「稼ごうと思って農業をしに田舎へいく」のは絶対に辞めたほうがいいです。
伝統工芸などは誰でもできるイメージないんですが、何故か農業になると誰でもできるんじゃないかの如く、農業で生きていきたい!って言う人増えますよね。
「農業で生きていきたい」
という人の99%は稼ぐための農業をやったことがなく、
- スローライフでいい感じ
- 作物作れたら食べていける
- 後継者いないから稼げそう
なんていう農業に対する甘い考えの人がほとんどです。
実際に「農業で稼ごう」と思えば死ぬほど考えることがあります。
一例を挙げれば
- 種の仕入先
- 野菜の売り先
- 年金暮らしで大量出荷してくる人の値段調査
- そもそもどうやって作物ができるのか
などです。
正直農業初心者の方でこれら全部をタスク管理して回せる人はほとんどいないでしょう。何故なら他の仕事した方が余裕で稼げるからです。
農業は知能労働
野菜を作るところまではなんとか肉体労働でなんとかなりますが、売るとなると完全に知能労働。
- どこにいくらで出すか
- 営業方法は?
- 運ぶ時間に費用対効果はあるのか?
など考えることがたくさんあります。
どこで何を作るか?
どこで何を作るかは非常に大事です。
むしろ作りたい作物から移住先を検討するぐらいでないと農業で生きていくのはまず無理です。
北海道に行けば、冬の間は雪が積もって全く稼ぎがない状況になりかねませんし、山間の集落に移住しても大きな畑がなく小さな畑をいくつか借りることになり、畑間の移動に時間を取られかねません。
自分のライフスタイルに合った移住先で育てる作物を見つけるというのは非常にリスキーです。ライフスタイルそのものを崩されかねません。
そもそも農業で生きたい人はほとんどいない
そもそも論を今更出すという流れになってしまいますが。大体大規模な農業で暮らしているなどの理由がない限り、農業で生きていきたい人はいないと断言します。
農業をやったことのない人の中から「農業で稼いで生きたい」という人の思考は以下に集約されます。
- 3.11などの天災を境にお金を稼いでモノを買う行為に不安を覚える
- スーパーに並んでる野菜に不安を覚える
- オーガニックや無農薬野菜にハマる
- 無農薬は高いので自分で作るしかない!と思うようになる
- 農業で稼ごう!となる
なんとも安直な考えですね。(実際僕もこんな感じだったのでわかります。)
上記にあげた様な思考は特に否定しません。そういう考え方もあるなという感じ。
ただ間違っているのが最後の「農業で稼ごう!」という点。
別に農業で稼がなくていいじゃないですか?笑
と、僕は考えます。
例えば今の生活のまま畑を借りて食べる分だけ作り始めるとか、倍稼いで自分が安心できる農家さんから買うとかできるわけじゃないですか。
それをぶっ飛ばして何故か「農業で稼ごう!」となってしまうんですよね。やったこともないのに。絶対無理。
テクノロジーで大量生産される時代の到来
なおかつ今後は農業にもテクノロジーを入れる企業が増え、安全な野菜が安く手に入る時代がすぐそこに来ているでしょう。
そんな資本に勝てるだけのバリューを出せる人なんてほんの一握りです。もはやそのような人は作物ではなく自分を売っている。営業のポイントがわかってるんですよね。
機械生産の農作物は自動で種まきをされ、水や肥料を与えられた野菜が人間の手を加えず勝手に育ち、出荷まで自動でされる。
対して就農者は
- 種を撒き芽が生え
- 眼を選定して元気に生やし
- 肥料や農薬を与え元気にし
- 収穫してパック詰
- 出荷する
どう考えてもテクノロジーに勝てないな〜と思って僕は農業で稼ぐことを辞めました。
夏なんか本当に毎日6時間ぐらいナスをパック詰してましたからね。朝5時に起きて収穫して、12時までパック詰とかザラです。それでも手取り月収30万円いくのは至難の技でした。
もちろん午後も収穫ですよ。1日10時間ぐらい畑にいたんじゃないですかね。きつかったな〜。
野菜のテクノロジー化に関しては一定層
「機械が作った野菜なんて信じられない!」とかいうスピリチュアルな人が発生してくる感じですがそういう集団はほんとにお察しということで。。。
結論:就農は絶対におすすめしない
ということで
絶対に就農は辞めときましょう。野菜を売るのではなく自分を売ることができる人はいいけど、わざわざ農業一本で生きて行く修羅の道を選ぶ人はいないでしょ。
やるにしても、不労所得が月50万あるとかそのレベルじゃないとおすすめしません。ほんときっついよ。時間めちゃめちゃ取られるし、台風来たら気が気がじゃないです。
LINEの上級執行役員:田畑さんも以下の様なツイートをしていました。
諦めるしかないでしょう。どうせ農家は後継者いなくて高齢化してるんだし。放っておいても日本の農業は徐々に消滅しますよ。 https://t.co/wKCTCJpmq9
— 田端 信太郎 (@tabbata) 2018年1月22日
僕もこの意見に同意です。そもそも農業を人間がやる時代は終わりが来ると思っています。何千年の間人間が作ってんだよ。という感じ。全然進化してない。機械はこれだけ進化したのに。
野菜は自分で作った野菜を食べたい人が作る時代。売られる野菜は全て機械に任せて本当に好きなことをやりましょう。
それでも頑張ってる家族農家にはなんとか生き残って欲しいと思います。営農法人や超大規模農業の影に隠れて日本の食卓を今支えてくれる人はたくさんいますからね。
この話を聞いても農業で生きていきたい!という人は、少しずつ農業の勉強を開始しましょう。自分で家庭菜園をやるとか、シェア畑という近くの畑で農業を教えてもらえるサービスもあります。
そういえば取材依頼は全てポシャった
23歳で農業しに渋谷から滋賀に移住したこともあって、様々な新聞から取材依頼は来てたんですよね。
で、事前ヒアリングでほとんどの人から「日本の未来はどうなりますか?」って聞かれるので、
って伝えると明らかに記者のモチベーションが下がって実際に新聞になることはありませんでした。
無理に盛り上げなくていいんだよ新聞記者の皆さん。。。